3つの協奏曲 vol.7

ついに、このブログも
このコンサートの演奏家さんたちへの「代替書簡」ということに・・・
1年ぶりの更新です。

というわけで、今年も行ってまいりました。
HZMのコンサート!!
3つの協奏曲 vol.7 HZM×Cm

(参照サイト)金澤亜希子の音楽室 http://www.geocities.jp/kanazawa_akiko/

お品書きは、以下です。
今年は、全曲ハ短調なんだってさ。

ベートーヴェン : ピアノ協奏曲 第3番  ソロ:近江秀崇 伴奏:金澤亜希子

◆ピエルネ : ピアノ協奏曲  ソロ:金澤亜希子 伴奏:新井彩香

ラフマニノフ : ピアノ協奏曲 第2番  ソロ:新井彩香 伴奏:近江秀崇


漏れ聞いた情報では、このレビューを読んだ某演奏者のO氏は、
「結局、JACKさんは金澤さんのことが好きなんですね」
とおっしゃっているとのこと。

何を根拠に???(決して嫌いという意味ではないが)
お三方に等しく敬意を抱いている証拠として、
今年はベートーヴェンラフマニノフを、みっちり予習いたしました。
2月はこれしか聴いていない、と言える程に。
予習していくと、ミスタッチがよくわかるようになるよね~

まずは、ベートーヴェンですね。(愛をこめて、多めに書きましょうかね)
ピアノはメカニックな楽器で、一つの鍵盤に一つの音。
グリッサンドはありえない。チョーキングプリングオフ・オンは存在しない。
ビブラートも怪しい。ペダル様さま

ビル・エヴァンズは、演奏を「肉声」に近づけようと模索したというが、
それは管や弦の極み、みたいなものだろう。

ベートーヴェンも、方向性はちょっと違うかもしれないけど、
一生懸命だったのだと思う。
機械的なピアノの音が、もっともキレイに聴こえるように。
音の単調さを克服して、複雑になるように。
「音のシーツ」をベッドに広げるように。
窓際で「音のカーテン」が揺れるように。

なので、ベートーヴェンのピアノの曲を、
「穴だらけのシーツ」にしてしまうような演奏は、どうなの??と思ってます。
妙なタイミングでの間や「ため」で、
聴き手の心に引っかかりをつける必要はないのでは?? と。
近江氏の演奏は、その点では心配する必要はないのでね。
安心、安心! キレイに聴かせていただけます。

しかし、「ため」を用いたくなる気持ちもわかりますけどね。
素晴らしいと感じるベートーヴェンの演奏は、
往々にして、音に「粘り」があると思います。
「粘り」って、表現しにくいのでしょうね。
で、妙な「ため」になっているのではないか、と想像します。

近江氏の演奏はぁ、キレイだから。 うん、キレイ。
この曲は、第3楽章が一番ベートーヴェンっぽいと思うけど、
近江氏の演奏では、この楽章が一番“さわやか”に聴こえますね。


さて、ピエルネですがね、存在を知りませんでした。
HZMのコンサートは、毎年鑑賞の幅を増やしていただいて有難いです。
(金澤さま熱愛ゆえの発言ではなく)

予習しないでおこうと思いつつ、結局、YouTubeで1回聴いてしまいました。
第1楽章は、「風と共に去りぬ」とか「草原の輝き」みたいな、
ちょっと古い映画の音楽を聴いているような感じ??
第2楽章は、トーキー映画初期のディズニー・アニメの音楽のように思えました。
第3楽章は、良い表現がみつかりませんでしたが・・・

しかし予習という形での比較検討材料を準備しないのは、
自分の「真の鑑賞力」を図る上では最良です。
弾き手の裁量にすべてを委ねる・・・
演奏者と聴衆の間に信頼関係を築こうとする試みですよ。
ああ、素晴らしい!(金澤さま偏愛ゆえの発言ではなく)

この曲は金澤さん向きですね。
そして、今年のプログラム中で、もっとも二台ピアノに適していると感じました。
ソロ・伴奏にこだわらず、一つの曲としてよかったです。
恐らく、聴衆はこの曲に対して、もっとも違和感なく拍手をしていたと思います。
(金澤さま溺愛ゆえの発言ではなく)

隣の席のおじさんは、「金澤さんは、毎年短い曲だねぇ」
と言っていたらしい。(同行者談)

ちなみに第3楽章ですけどね、
PCのキーボードを高速でブラインドタッチしている感じ。
文章を打つ際には、文節や句読点でEnterキーを押すので、
高速・ブラインドタッチは、独特のリズム感が出ますが、そんな感じにも聴こえました。

どうでもいいけど、前の席のおじさんが、
「日本の軍艦」のモノクロのカタログを見ている。なぜ?

そして彩香ちゃんは、演奏前に必ず椅子の高さを調節する。
そう、必ず・・・ルーチンなの?
五郎丸ポーズみないたなものかしらん?

最後に、ラフマニノフですけどね、
普通のオーケストラ版で「伴奏がソロ」・・・みたいなの曲・・・ですね。
ピアノもオーケストラの一部として機能しているようで、
第1・3楽章の最後の盛り上がりは、いずれもオケが主役。

ピアノと言えば、さながら音階を奏でるパーカッション。
第1楽章の最初など、ソウルフルなバンドのベースギターを聴いているようです。
チョッパーベースだぁ!
ただ、ピアノの演奏自体は、ひじょ~にたいへんそうだけどね。

エルベ川以東ないしはバルト海以北の音楽家さんの曲は、
大海、大地、天空、のようなものを連想させて、
聴いていると、感覚的に「連れていかれ」ます。
(リスト、ショパンバルトークは、ちょっと除外したいが)

ベートーヴェンは「シーツ」「カーテン」だけど、
ラフマニノフのピアノ協奏曲第2は、「海原」「波浪」「乱雲」「照射」かな??!
しかし、これはオケ伴奏で聴いた場合。

二台ピアノで聴くと、一番盛り上がるところが“打楽器二重奏乱れ打ち”みたいで、
伴奏で「大波にさらわれる」感じにはならない。
これは、つらい。
彩香ちゃんの音は・・・冴えていてクリスタルな感じ
ラフマニノフの割に、悲しくなれない・・・

そして悲しいことに・・・これを書かないと・・・
パンフレット裏表紙のハンガリー語がぁぁぁぁ

来年の演奏も期待しております。
HZMに歪んだ愛をこめて

my母の友人は、「感動したぁ!」とおっしゃっていたようです。