3つの協奏曲 vol.10 その1

今年も行ってきました、このシリーズ。

 HZM 3つの協奏曲 vol.10

今年は10回目の記念回ということで、会場も広めの ルーテル市ヶ谷ホール
15:00開演の部にて拝聴いたしました。


≪今年のお品書き≫

★シャルル・カミーユ・サン=サーンス  ピアノ協奏曲第1番 二長調 Op.17  近江秀崇 with 彩香-Ayaka-

エドヴァルド・ハーゲルップ・グリーグ  ピアノ協奏曲 イ短調 Op.16  彩香-Ayaka- with 金澤亜希子

ヨハネス・ブラームス  ピアノ協奏曲第2番 変ロ長調 Op.83  金澤亜希子 with 近江秀崇


Yahooブログもサービス終了が決まり、来年はこのコンサート報告を書くこともないので、
今回はいつもより、もっと長く書いちゃおうかな。10周年だし

--------------------------------------------------------
HZMのメンバー御三方に感謝するとしたら、
「ピアノ協奏曲(コンチェルト)」というジャンルをじっくり聴く機会を与えてくれたことでしょう。
コンサートに行くということだけでなく、自宅で聴き込むことも含めてね。

そもそもJackにとって、「協奏曲」は、その存在意義からして、まったくもって理解不能でしたし。
オーケストラだけで十分完成品なのに、それに単体楽器で「ソロ」をつけるなんて・・・
ピアノでも、ヴァイオリンでも、チェロでも、ホルンでも、「添え物」以上になれるのかな?
完成品に添え物をしたところで、添え物は完成品の上にはいかない、
と思っていたし、今でも相当な程度で思っている・・・

「伴奏」のオーケストラが主題を提示して、それを「ソロ」のピアノが弾いてもねぇ・・・
オーケストラが単体楽器の引き立て役をやるって・・・ムリ無理じゃん。
絶対におされて負けるよ。別に無理して一緒にやることないじゃん。

そもそもピアノ・ソナタがあるんだし、ピアノ協奏曲はいらなくない?
オーケストラと「競争」しても勝つのは難しいから、おとなしくソナタ弾いてればぁ
って感じだったんですよね。
--------------------------------------------------------

サン=サーンス  ピアノ協奏曲 第1番 二長調 Op.17】
さて、今年は近江氏のソロでスタートです。

サン=サーンスは、HZMシリーズのvol.5で金澤さんが第2番を弾いた時
協奏曲全5曲セットCDを購入しまして、それ以来、非常に気に入って聴き続けております。
サン=サーンスを聴かなかったら、恐らく「ピアノ協奏曲、素晴らしい!」って思わなかったよね。
今となっては、Jackが自宅で「もっともよく聴いているクラシックの曲」となりました。
(試験の採点しながら流していると、仕事が進む)

というわけで、近江氏の演奏なんですが・・・
近江氏とは面識少なめなので、毒は吐かないようにしてきましたが。が。が。

この曲って、作曲した人は誰だっけ? ベートーヴェンだったけ??
第1楽章、出だしから重すぎて参った。無駄に“タメ”て弾かないで欲しいもんだ。

自分で持っているCD以外にも、YouToubeでとか、ダウンロードしてとかで聴いたけど、
こんなに重いサン=サーンスを聴いたことがない。
サン=サーンスの協奏曲の中でも、第1番は特に軽やかで(柔らかいとは、また違う)、
第1楽章では、脇を軽快にすり抜けていく感じがする、ハズ、だが

「解釈の違い」と言われてしまえば、それまでかもしれないけど、
これではサン=サーンスの良い所をつぶしてしまっているのではないか?
もし近江氏の解釈で、「二台ピアノ」ではなく、「オーケストラ」とあわせたらどうなってしまうんだ?

第1楽章の伴奏・オケ部分では、「笛」と「ラッパ」が頻出するイメージがある。
でも、音量は多くない。
ラッパも、ドイツの後期ロマン派がやるような、インパクトを与える「吹き上げラッパ」のようではないし、
ロシアの作曲家がやる「爆裂ラッパ」でもない。

通常、オケは最初に主題を提示するものらしいが、
この第1楽章での笛とラッパの大切な役割は、軽快な“雰囲気”を提示することだと思う。
まあ、サン=サーンス全般で同様な感じで雰囲気提示があり、これが素晴らしい。
ソリストは、むやみにこの雰囲気を壊すべきではない・・・

さらに本数少なめの笛やラッパが、ピアノと絶妙に掛け合う感じで軽妙さが醸し出される。
近江氏の、上からたたき付けるような演奏では、笛やラッパで持ち応えることができない。
恐らく「弦」が束になって受ける必要がある。それなら、サン=サーンスがそのように書いているはず。
故に、この曲を近江氏の解釈で演奏する必然性が感じられない。

第2楽章ですが、ここは、すごく感情を投入して弾いた方がいいのでは? と感じていて、
持っているCDの演奏は軽めなので、もっと熱を入れてくれ・・・と思っています。
ここに熱を入れて“雰囲気”を重厚にすると、第1・3楽章との釣合いがいいと思います。
第2楽章も軽くすると、単なる軽いだけの曲になってしまう感じ。
でも、ここで雰囲気を出すのは、オケではなくてピアノ

近江氏、、、熱を入れて弾くなんてしないだろうから、第2楽章は軽くなっちゃうんだろうな・・・
と、聴きに来る前はそんなことばっか考えてたのに、
第1・3楽章が重いので、第2楽章が軽めに弾かれたことで、むしろ休憩できました。

第3楽章は、Jackのイメージでは、「明るい場所から明るい場所にどんどん動いていく感じ」でしたが、
やはり、重い、そろそろ、つらい。

第3楽章で気に入っているところは、真ん中を過ぎたあたりのところで、
伴奏が主旋を弾いて、ピアノが「高速分散」するところがあるのですが、そこです。
聴き始めた頃、「ピアノの通奏低音応用版みたいで面白い!」と思ったりしました。
サン=サーンスの場合、この「高速分散」は、この曲の第1楽章のラストの辺りでも特徴的ですが、
協奏曲第4番第2楽章で、もっと「あざとく」登場して楽しい。

この部分、近江氏がもう少し音量を減らして、
彩香ちゃんの演奏を前に出してくれるとメリハリがあって良かったのに・・・
全体的に見て、音量の「緩急」がはっきりしない感じでした。

AH 近江氏の演奏に、こんなに毒吐いたことなかったのに・・・さすが10回記念回
サン=サーンスだったしねぇ、グチグチ言いたくなったってことか。