3つの協奏曲 vol.10 その2

続きです!
---------------------------------------------------
ピアノ協奏曲に興味はなくても、有名な曲はいくつか知ってました。
でも、そうした曲はいずれも、ほぼ100%と言っていいくらい、
多くの人の耳に残る旋律は、ピアノではなくオーケストラが作っている。
それなのに、ソリストはたいへん「威張って」いる。だって指揮者よりも偉いのよ!
なんで? なんなのソリスト

よく分からないままに、HZMのvol.4に行って、よくよくパンフレットを読んでみた。
(Jackは、vol.2に行っていないので、鑑賞3回目の時)
パンフレットは、いつも嫌味なツッコミを入れながら楽しく読んでいます。
誰の文章ですかね? 出典はあるの? コピペしてるのかしらん?(失礼な)

  リスト:死の舞踏 S.126
  >この作品は“死”の恐怖が表現され、悪魔的な迫力が印象的ですが・・・・

「悪魔的な迫力」?? 死神の大鉈は迫力だが、悪魔は「堕落」だから迫力ないじゃん
死んだからって、悪魔な地獄に落ちるとは限らんしな
この曲って、人智を超越して「死」が頂点に昇り詰めてのクライマックス、
圧倒的で、ひれ伏すしかない「死」への恐怖・・・かと思ってた。感覚的に腑に落ちない

AH 私って性格悪いわよね~ 嫌味が癖になってるわぁ と、ふとその時、同ページの最下段に目がいく・・・

  >カデンツァ・・・独奏者がオーケストラの伴奏を伴わずに自由に即興的な演奏をする部分。

「自由に即興的な演奏」?? 何ですかコレは? というか、御三方はこんなことやってるのかい・・・
早速、おうちで調べてみた

 元来、独奏者が自由に即興的に演奏していたが、やがてカデンツァを楽譜に書き残し、またその楽譜に従って演奏するということが行われるようになってきた。こうして、ひとつの協奏曲に異なる複数の作曲家がカデンツァを書くようになり、現在では演奏家はその中から選んで演奏するのが一般的である。(ご協力は、Wikipedia

成る程ね、でもこれだとソリストがお偉いさんだということに納得がいく。
ソリストは曲全体を理解した上で、適した即興演奏をせねばならんのだろう。
ただ楽器を弾く技術が高いだけでは務まらんし。
恐らく、協奏曲のソリストを依頼されるってことは、モノ凄いことだっただろう・・・昔は

というわけで、現在は誰かの楽譜通りに弾いているということらしく、
特別偉くはないという結論に至った・・・HZMって、いろいろ勉強になるなぁ
---------------------------------------------------

エドヴァルド・ハーゲルップ・グリーグ  ピアノ協奏曲 イ短調 Op.16】
今年の2曲目のソリストは、彩香ちゃんです。

グリーグのピアノ協奏曲は、HZMシリーズではvol.3で既出。
でも、金澤さんがソロを弾いた時は、有名な曲だから大丈夫だと思って、予め聴いていなくて、
色々と「圧倒」された屈辱の記憶が・・・小さい会場だったし。
今回はがっつり予習して、楽章ごとに聴き直したり、準備万端でしたよ!

正直、彩香ちゃんの演奏については、特に書くこともない感じです。
Jackの所感で、今年、御三方の中でもっとも良かったのは彩香ちゃんだと思います。
(金澤さんの伴奏とも合ってましたぁ。伴奏もけっこう練習してたらしい)
ここ数年の同シリーズにおける彩香ちゃんの演奏の中でも、一番の出来ではなかったかなぁ?
第3楽章で、弾き切れていないところが若干あったように思えましたが、
それも些細なことのように感じました。
彩香ちゃんが、グリーグのピアノ協奏曲を演ると知った時、ちょっと懐疑的だったのですが。

彩香ちゃんはドビュッシーみたいな、印象派というか、象徴派というか、
そんな感じなのが合っているのかな? と思っていました。
今回はロマン派というか、国民楽派というか、そんな感じの曲だけど。
ラフマニノフとか(ラフマはロマン派でOK?)、相性が良いように思わなかったし、
ショパンもねぇ・・・彼女のシューマンを聴いたことがないのは残念だけど。

今回の彩香ちゃんの演奏は、「国民楽派」のイメージでしたよ。
理解の難しいジャズとかつまみ食いするより、こっちの方に来たら?

国民楽派は、他国や他民族に長期に支配されていたり、圧政に苦しんでいる民族の文化に浮上しますが、
曲調は、パッションな感じです。他にも「鼓舞」とか「自尊(誇り)」とか、色々複雑ですが。
ハンガリー国民楽派にパッションのイメージはないなぁ)
グリーグのピアノ協奏曲は、有名な冒頭部分(この部分、カデンツァだって)、パッションですね。

どうでもいいですが、英語のpassionには、大きく2つの意味があります。
一つはよく知られたところで「情熱」ですが、もう一つは宗教的な意味あいの「受難」です。
国民楽派は特に宗教を強調するものではないけど、この「受難」という言葉の持つニュアンス、外せません。

グリーグのピアノ協奏曲・・・「The 北欧」だけで語っていいものか?
第1楽章冒頭部分および主題提示は「難局(受難)」でもイケると思います。
第3楽章の最後は「雄大さ」という説明もアリですが、
「難局(受難)からの解放」の方が、Jackにとって腑に落ちます。

恐らくJackが持っているイメージと、彩香ちゃんの演奏がシックリいったんでしょうね。
所詮は感覚というか、好みの問題でしょうか。
彩香ちゃん、「受難」とか、まったく意識してないはずだし。

でもね、10年前にこの曲を選んでいたとしたら、彼女は今回のような演奏ができたのかしらん?
HZMは10周年だけどさ。
時間やら、経験やらとともに、知らぬまに身についていく感覚ってあるかもなぁ、と思った次第です。