風邪の日のN子さん

先週、学校の後輩N子さんと「夏目漱石展」に行きました。
その時N子さんは病み上がりで、まだ咳が残っている状況でした。
ほんの三日前まで熱にうなされている状態だったようです。


展覧会鑑賞後、N子さんがおっしゃることには
「熱でボーッとしていた時に、内田百けんの言葉を急に思い出したんです。
 『世の中に人の来るこそうれしけれ とは云もののお前ではなし』っていうんですけど、
内田百けんはそれを家の前に貼ってたらしいんです。
いいなぁ、と思って、私も筆ペンで清書して、ドアの内側に貼ったんです」


Jackは「内側なんですか?」と訊きました。
「はい、内側です」とN子さんは答え、その理由は話さないまま、少々興奮した面持ちで、
「でも、その貼ったやつ見てたら、急にムカついて、『どうせ、うちに人なんか来ないよ!』
とか思って、剥がして捨てたんです。
で、後になって、『私って、何やってんだろう』と思いました」と続けられました。


ほんと、熱で放心状態だったようです。


『どうせ、うちに人なんか来ないよ!』と思うあたり、N子さんは人が自宅に遊びに来るのを欲しているのでしょうか?
しかしJackがN子さんの自宅前まで行くと、大概にして、
「今部屋が汚いから、上がってもらうわけにはいかないんですけど」とか、
「ゴミ捨ててなくて、ホント、人に見せられる状態じゃないんです」
などとおっしゃって、決して招き入れてくださることはないのです。
これはJackに限らず、同じ学校関係者はほぼ同じことを言われているようです。


しかしN子さん、
「私、料理は下手ですけど、掃除はかなりやりますよ!!
もーバイト先とかで、いつも私が掃除してます!まあ、バイト先がキタナすぎるんですけどね」
というように、自称「掃除好き」の「きれい好き」なんですけどね。


なんか、矛盾したものを感じます。
「人に遊びに来て欲しい」フリをして、ホントは来て欲しくないので、
「部屋が汚い」と言って、訪問を拒絶しているのでしょうか?
それとも「物ぐさ」なんだけど、「掃除好き」のフリをしているだけでしょうか?


相変わらず謎の多い、N子さんですが、Jackができる唯一のコメントは、
「風邪の時は、筆ペンで清書なんてしてないで、大人しく寝ててください」
ということだけかと思われます。