意匠

たまには真面目に書いてみようと思うわけです。

GW中に出かけた展覧会のことです。
タダ券をgetしたので、世田谷区のはずれにある小さな美術館に行きました。
その美術館のコレクションの多くは、ある大金持ちの収集品で構成されています。
時々出かけるのですが、美術品の素晴らしさよりも、
「お金はあるところにはある、というより、何故か偏って存在している」
ということに、より強い印象を受けて帰ってきます。

さて今回の特別展示ですが、「うるし」の工芸品でした。
蒔絵、螺鈿などの技術を多用した品々が並んでました。
その多くは江戸時代のものでしたね。

この漆塗り工芸品は日本が世界に誇るものである、ということは、
美術品に関する素養皆無のJackでさえも心得ていること。
そんなJackが美術品を拝ませていただく時に、一番気になるところは、
どのようなものが描かれているか?ということです。

実は4月に、六本木にできた新名所内にリニューアル・オープンした某美術館に行ったんですね。
「日本では美術品にどのようなものを描いてきたか」というような展示主旨だったように思います。
吉祥(鶴亀、松竹梅など、めでたい物)
季節ごとの花鳥
宴の様子  などなど
まあ、その美術品の作成依頼をした人物の家紋なんかも描かれますよね。
美術品なんて、金持ちの道楽みたいなもんだから、
芸術家にとってパトロンの意向は重要ですよ。

最近Jackが気になっているのは、「季節を題材に日本人が美しいと思って描いてきたもの」です。
春は「桜」なんですよねぇ、まあ、「梅」もありますが、Jackには「吉祥文様」の印象が強いです。
冬は「雪」を表しているのが多いと思います。
このあたりは良いのです。なんとなく納得するから。
Jackにとって問題は「秋」なんです。
この秋にも大体パターンがあるように思えます。

GW中に見た「漆」物には、秋が題材になっているのもありましたよ。
描かれるのは動物なら鹿ですよ(雁も多いですが)!
植物だと野菊、ススキ、撫子といった感じ。ここには当然紅葉(もみじ)も入ります。

Jackの美的感覚では「春の花」より「秋の紅葉」に惹かれるのです。が、
美術品に描かれるのは「もみじ」ばかり。
これまでJackの美術館めぐりを思い起こしても、「いちょう」に会ったことがありません。

日本人の美的感覚に「銀杏」はマッチしないんでしょうかねぇ??
最近では毎年、秋になると都内の「銀杏並木」を必ず観に行くようにしているのですが、
そう悪いものでもないと思うわけです。
「もみじ」に比べて、豪華さがないのですかね?
デザインも依頼人の趣味を反映していることが多いし、銀杏は庶民向けなのかもね。
今回の「漆」の展覧会でも、銀杏は見かけませんでした。

ただちょっとビックリしたのは、展示の最後の方で、
18~19世紀の作品で「耕作漆絵盆」というのがあって、
農民が田んぼで牛に鋤をひかせている、のどかな図柄のお盆があったのです。
説明がありませんでしたが、誰がどんな目的でこれを作ったのか、もしくは作らせたのか?
江戸時代の作品です。
農民は美術品の依頼なんてしないと思います。
金持ちの暇つぶし的作品でしょうか?
そうかもしれませんが、だとしたら、やはり金持ちの考えることは、
遠く庶民には理解できないものですねぇ。