賢者の石(お買い得パック4枚組DVD)

『賢者の石』が公開された時に観ているのですが、かなり前のことなので忘れてしまいました。
良い機会だったのでDVDを買ってしまいました。

ハーマイオニーの良さを確認するために映画を観たとすると、
原作で描かれた彼女の素晴らしさがほとんどカットされているので面白くないかも・・・
映画という限られた時間内にあの長い話を納めなくてはならないので、
端折らなくてはならない部分も多々あるのだとは思いますが。

とりあえず、可愛げのない所は強調されています。
初登場シーンは原作同様、「ネビルのヒキガエルを探してあげている」ですが、
このシーンで彼女の親切さや優しさが伝わってくるとは思えません。
このシーンの最後でロンに対して顔に「泥がついている」ということの知らせ方、カワイくありません。

三頭犬と出会った後の捨て台詞「死んでしまったかもしれなかった、もっと悪ければ退学だった」という言い方、
スネイプの授業で「私は答えられます」とばかりに挙手、挙手、挙手、
「妖精の呪文」の授業でロンをギャフンとさせてしまう、
といった所は原作と変わりませんが、言い方や表情が憎たらしいです。

これは監督のクリス・コロンバスの表現故、考え方故!かもしれませんし、
子役のエマ・ワトソンの演技故かもしれません。
また吹き替えで観た場合、声優の須藤祐実氏の表現方法なども考慮すべきでしょう。

ハリーやロンと「つるむ」ことになるエピソードは基本的に原作と同じです。
授業で優等生ブリを見せつけられたロンは、「だから友達がいないんだ」と言って、
ハーマイオニーを泣かせてしまいますが、そこにトロールが忍び込んで、ハリーとロンが救出して・・・

この後から3人で行動するようになりますが、ハーマイオニーの活躍はけっこー削られてしまいますのでねぇ・・・
クディッチの試合でハリーがピンチになった時、ハーマイオニーが魔法を使って助けるくらいが彼女の見せ場でしょうか。
最後の罠のシーンで冷静に論理のパズルを解く個所は削られていますので。
ハリーに「もっと大切なことがある」ということを伝えるところでも、もう少し感極まった感じが欲しかったですね。
やはりこれが監督、俳優のハーマイオニーという役に対する理解なんでしょうかね。

映画ではハーマイオニーに対するハリーの見方はあまり伝わってきません。
どちらかと言えばハーマイオニーへの評価はロンが下しています。
例えば「ニコラス・フラメルが何者か」を調べるにあたって、
図書館の閲覧禁止の棚にある本を調べるよう、彼女が二人に主張すると、
ロンがハリーに小さい声で
「あいつ、僕らのせいで悪になったな!」と言うなど(字幕では「校則破りは僕らの影響?」です)。
原作にはないシーンですね。

また賢者の石を見つけるために、夜中に寮を抜け出す所をネビルに見つかりますが、
ここでハーマイオニーがネビルに「全身金縛り」をかけるのは原作同様です。
しかし原作では「辛そうな表情」で、映画では「堂々」と・・・
そして映画ではここでロンが「君ってすごいけど、コワイよね」と言ったりして。
ここでクリス・コロンバスの描くハーマイオニーの性格が決まったような気がします。

すでにこのシリーズの最終話が世に出ていて、この三人の将来がわかってしまった今、
ロンにハーマイオニーに対する率直な感情を語らせ(原作でも二人のけんかのシーンは多い)、
時にロンがハーマイオニーにヤリこめられるて引き下がり、
「スゴイけどコワイ」と言わせるあたり、かなり思わせぶりですね。
次作「秘密の部屋」ですでにこの二人の「もどかしい」場面が出てきますので、
ガキんちょの頃からややこしい二人というわけです。