東欧の彩りLIVE

2月3日(日)、珍しく東京を襲った大雪にもめげず、
東京のクラシック専門のライブハウスで催されたピアノ(Pf)、チェロ(Vc)、ヴァイオリン(Vn)のトリオ・ライブに行ってきました。

出演者3人は皆様ハンガリーへの留学経験をお持ちで、その中のピアノ奏者(女性)AちゃんとJackはお知り合いという関係です。
ライブは3部構成で、第一部が「ハンガリー」、第二部が「チェコルーマニア」、第三部が再び「ハンガリー」となっています。

第一部のプログラムは
ハイドン  ピアノ三重奏Hob.XV-25より ハンガリー風ロンド Vn,Vc,Pf
バルトーク  ルーマニア民俗舞曲 Pf
       Ⅰ:棒踊り Ⅱ:飾り帯の踊り Ⅲ:足踏み踊り Ⅳ:プチュム人の踊り
       Ⅴ:ルーマニアポルカ Ⅵ:速い踊り
コダーイ  ハンガリー風ロンド(ハンガリー民謡)Vc,Pf
モンティ  チャールダーシュ Vn,Pf
ヴェイネル  3つのハンガリー民謡 Vn,Pf
       Ⅰ:狐の踊り Ⅱ:マロシュセーク地方の舞曲 Ⅲ:農民の踊り
ブラームス  ハンガリー舞曲No.5 Vn,Vc,Pf

ハイドンなんてオーストリアの大作曲家じゃん!と思われるかもしれませんが、
ハイドンは30年以上もハンガリーの大貴族エステルハージ家に仕える音楽家だったので、ハンガリーと無縁というわけでもないのです。
ハンガリー風ロンド・・・何故こう呼ぶのかな?早いテンポと遅いテンポが交互に現れる感じの曲だからでしょうかね?

バルトークコダーイハンガリーを代表する作曲家で、民族音楽研究家としても有名。
ピアノ奏者Aちゃんがこのバルトークの曲を演奏するのを聴くのは、Jackにとっては二度目。
休憩時間にAちゃんがおっしゃったことには「前回Jackさんがいらしてくれたコンサート以来、弾いていなかった」とか。
フムフム、「また弾いてるなぁ・・・」と思ったのは、単なる偶然だったというわけです。

モンティの「チャールダーシュ」はあまりに有名なので・・・
短く、軽快なので色々なコンサートのアンコールピースとしても用いられております。
難易度の高い曲ということですが、ヴァイオリンの方は涼しい表情で弾いてらっしゃいました。

むしろJackにはヴェイネルの曲の方が、ハンガリー滞在時を思い出して懐かしく感じられました。
ヴェイネルの曲は夏場の各地方のお祭りの「民族ダンスショー」でもよく演奏されます。
ハンガリーの民族ダンスは男性の踊りに特徴があり、踊り手たちがより早く、より難易度の高いステップを競い合う風潮があります。
ショーの時、上手い踊り手が登場すると、観客が「もっとやれ!もっとやれ!」と煽って、
演奏者がそれに合わせてものすごく速く楽器をかき鳴らすようになります。
それに合わせて踊り手も高速でステップを踏み、さらに会場は盛り上がる・・・という感じ。
今回のコンサートでは踊る人もいないので、標準的な(?)スピードでの演奏でした。

ブラームスハンガリー舞曲第5番は有名すぎるので・・・
もっともブラームスは「ジプシー音楽」を「ハンガリー音楽」だと思って、影響されてたらしいですが。

短い休憩をはさんで、第二部は
スメタナ  交響詩「わが祖国」よりモルダウ Vc,Pf
ドヴォルザーク  我が母の教えたまいし歌 Vn,Pf
ボルムベスク  望郷のバラード Vn,Pf
リゲティ  エチュード第4番 ファンファーレ Pf
ドヴォルザーク  ピアノ三重奏曲第4番「ドゥムキー」より Vn,Vc,Pf

この部は有名どころの曲が並んでおります。
特に一曲目は中学校の音楽の時間に登場しそうですし、
三曲目はヴァイオリニストの天満敦子氏のCDや演奏会でお馴染みになって、クラシックファンならば知っている人も多いはずの曲。

第二部はヴァイオリンの聴かせどころ満載、だったように思えます。
演奏されたヴァイオリニストさんも聴かせ方の上手な方で、
Jackの感想ではしょっちゅうテンポの変わるハンガリーの曲よりも、
雄大ボヘミア楽派の曲の方が、彼女の演奏が魅力的に聴こえる感じがしました。

四曲目のリゲティの曲だけが、このライブのプログラム中でちょっと「異色」な感じ!
リゲティハンガリーの現代音楽家なんですが、素人のjackの耳には結構耳障りな曲でして・・・
演奏前の説明および休憩時間における演奏家側の「ぼやき」としては、「あまりにカオスな曲で・・・」ということでした。

ハイドンは古典派だったり、ブラームスはロマン派だったり、スメタナ国民楽派だったり、
そんな感じで呼ばれる「○○派」というのは、ある種の「思想」をあらわしているとJackは思っています。
でも現代音楽の曲って、そういう思想みたいなものを体現するために作られているのでしょうか??
もっと計算づくで聴き手の感情を刺激するように仕組まれたものではないかしらん?
背景にある思想のようなものを理解しようとすると厄介な代物かもしれませんねぇ。
もっと率直に刺激性を求めて聴いても良いのかもしれません。
そこに旋律美のようなものは無いのかもしれませんが、確実に目が覚めます。
故に五曲目ドヴォルザークでは「船を漕いでいた」人はいましたが、
リゲティの演奏中は観客皆様集中していました。
時に刺激は必要です。

第三部はほとんど一・二部と曲がダブっていたので(ポッパーの「ハンガリー狂詩曲」のみ例外)、
帰ってきてしましました(雪も降ってたし)。

今回のライブで一番印象的だったのは、
時々このブログにもコメントしてくれるKANAZAWAさんが、一日スタッフとして働いていたことでした。
雪で本当のスタッフが来れなくて、急きょ呼び出されたとのこと。
友人のライブのために慣れぬ接客業に奮闘されていて。
彼女だって素顔はピアニストなのよ~!!
みんな、気づいてあげて!今回のライブでAちゃんが着用していたドレスは、KANAZAWAさんからレンタルしたものなのよ~!!(KANAZAWAさん、22日のライブには行けません、ごめんなさい)

色々な意味で楽しいライブでした。
寒かったですが、雪中行軍してよかった、よかった!