板さんの退職

Jackは週三日の割合で、「季節料理」を冠した呑み屋さんでバイトしています。
この店は常連さんはついているに、従業員がいつかず、すぐに辞めてしまうという欠点を持っています。
今年の9月でJackは勤め始めて、まる3年たちました。
現在のフロアチーフは、まる2年経過し、
それ以外の従業員はもって半年。
早いと数週間で去っていきます。

そんな中、今年8月末に板さんから重大発表がありました。
10月いっぱいで退職したいというのです。
板さんは現在59歳。11月末で還暦を迎えられます。
体力的にきつくなってきているので、退職したいということでした。

これで弱り果てたのがママ(女将)です。
というのも、この店のスタッフは「全員女性」ということで、長年やってきました。
店のイメージとして、この方針は変えたくないようですが、
女性の板さんって、なかなか見つからないのです。
さらにこの店の悪いところは、板さんでさえもパートで、正規雇用しないところです。
仕込から入ると結構きついですし、長時間の立ち仕事。
簡単に休みもとれない職場なのに、自給制で賞与もない。
募集をかけたとて、どんなお人好しが来てくれるのでしょうか??

そんな中、接客スタッフとして2人応募してきた方がいました。
一人は20代後半の方で、週三日働いてくれることに!!!
もう一人は40代半ばの方で、家庭の事情で毎日働きたいとのことでした。
しかし、接客係は毎日入れる人物を募集していたわけではありません。

そこでママは、
「料理の方をやってくれるなら、毎日入ってもらってもかまわないよ!」
と、面接で条件を出したようです。
料理には自信がないけど、毎日使ってもらえるなら・・・ということで、
その方は板さんが辞めるまでになんとか、
(仕込みはともかく)営業中の業務を覚えることになりました。

すでに出来上がっている煮物等を温めて、盛りつけたりするのは良いですが、
現在の板さんは刺身以外(刺身はママが担当)焼き、揚げも行っています。
さらにサラダ・・・誰でもできそうじゃん!と思えますが・・・
確かに誰でもできるんです。でも一番手数がかかり、短時間で仕上げる必要を考えると、
もっとも面倒な商品なのです。
これに時間を喰うと、他のすべてに影響が出るといっても過言ではありません。

その方が9月初めから働き出して、早一ヶ月。
中々思うように運ばない仕事ぶりに、
「板さんがいなくなったら、どーなるのかしら?」と心配が始まったママ。
挙句Jackに
「水・金・土はいいのよ、Jackちゃんがいるから!でも火曜と木曜はどーなるのかしら?」
と愚痴をこぼされるのです。
これはどーいう意味でしょうか?
Jackに火・木も働けと言っているのでしょうか?

板さんもママに聞こえない所で、
「私が辞めたら、ママとしてはJackちゃんだけが頼りよねぇ!まあ、頑張ってよ!」
と、ほとんどニヤつき顔でおっしゃいます。
フロアチーフも
「私は板場の方は関係ないし!まあ、幸運を祈るよ!」
などと笑顔でおっしゃって、皆様まったくの人事です。というか、
憂鬱な顔をしているJackを見て楽しんでいるだけのようにも思えます。

残された時間は約一ヶ月・・・
どーなることやら???
火曜と木曜の午後は授業があるんだよなぁぁ・・・
そもそもバイトに対して、こんなに責任を感じさせるって・・・おかしいじゃん!
もっともこれが、現在の日本の雇用の実態なのさ。
なんか年末に向けて、益々運気低迷なJackです。