Jackは大した知識もないくせに、よく展覧会に行きます。
かつては西洋の宗教画なんぞの特別展によく出没しておりましたが、
2・3年前くらいから、日本の美術品・工芸品の展覧会に行くことが多くなりました。
先日、虎ノ門近くのホテルの敷地内にある博物館施設に、
『狩野派誕生』という企画展を観に行ってきました。
狩野派って、よく分からなかったんですよ。
20代前半に京都市内を一人で巡った時、障壁画でよくお目にかかったり、
「洛中洛外図展」みたいなのでも、琳派関連の展覧会でも、
その他円山応挙や浮世絵などの展覧会でも、展示の解説のどこかに、
必ずと言っていいほど「狩野派の影響を受けている」
という一言を見つけることができます。
でも、はっきりとその実体がつかめなかった訳です。
今回の展覧会は「狩野派誕生」ですから、その一派の成立と絵の特徴が
年代順に示されていました。
小さな博物館なので、展示品は少ないですが、
狩野派ついての大まかな知識を得ることができました。
折角知識を得たのですから、もう少し理解しようと思い、博物館の売店で、
東京美術発行の「アート・ビギナーズ・コレクション」というシリーズ本で
安村敏信『もっと知りたい 狩野派―探幽と江戸狩野』(2006年)
というのを買ってきました。
ビギナー向けですので、とりあえず基礎を抑えることができます。
どうも室町・桃山時代の狩野派初期と徳川幕府の御用絵師となった江戸期で、
少々趣きが違うようです。
この御用絵師だったという初歩的な知識もなかったのですが、
これって結構大きいですよね!
絵を作成する上でのパトロンが確保されているということですから。
さらにその一派に属する絵師が、多くの藩の御抱絵師だったようで・・・
日本全国で狩野派の絵に遭遇する確率が高いのもうなづけます。
この本のメインは御用絵師になって、狩野派の画風が確立された
狩野探幽以降の主要な狩野派絵師の解説です。
年代順に絵の作風の発展と、維新後、パトロンを失って一派がほぼ消滅状態に
なるまでが、沢山の挿絵とともに説明されています。
初心者にも分かり安いです。
今日、色々と一派の教育システムに批判があったり
「狩野派の絵は面白くない」という意見もあるようですが、
日本絵画史上ではそれなりに大きな波を起こしていたと思われます。
そういえば、今秋、京都国立博物館で『狩野永徳展』が開かれるようです。
江戸とは違う「京狩野」、出かけてみる価値もありそうです。
京都かぁ・・・ちょっと遠いかな?
ちなみにこの本はサブタイトルに江戸狩野とうたわれているだけに、
「京狩野」の解説は少なめです。