妻は、くノ一

前評判など、まったく知らず、
駅前の本屋さんで平積みになっていたのが目について買いました。

風野真知雄
『妻は、くノ一』シリーズのご紹介。
既刊5巻(『星影の女』妻はくノ一2、『身も心も』3、『風の囁き』4、『月光値千両』5)

幕末の頃の江戸が舞台です。
スピードに乗れば、テンポよく一気に読めると思います。
ひっかかるクダリがあまりないのだと思います。

話しの設定上重要なことが二つあります。
一つは
九州にある各藩の抜け荷や不穏な動きを探るため、
幕府が九州の藩内や江戸の上下屋敷密偵を潜入させているということ。

二つ目が平戸藩の御船手方書物天文係の雙星彦馬(ふたぼし ひこま)と
彦馬のところに、幕府の密偵ということを隠して嫁入りした織江(おりえ)の関係。

二人の結婚生活は、織江が失踪(任務終了で江戸に帰った)したことで、わずか一ヶ月。
彦馬は妻を探して、雙星家を隠居して江戸へ。(28歳で隠居・・・)
寺子屋の師匠をしながら、織江を探します。

織江は夫が自分を探しに江戸に出てきたことを知って、
名乗り出ることはできないながらも、
陰ながら夫を助けます。

始終ニアミスしているにもかかわらず、
織江のくノ一の術(変装)のせいで、まったく気がつかない彦馬。

平戸藩の元藩主(隠居して江戸下屋敷に起居)松浦静山に気に入られ、
江戸で起きる日常的・非日常的な事件を解決しながら、
織江と再会しないまま、現在5巻まで話しが進みました。

「お庭番」の設定に少々問題があるようですが、
フィクションだと思って読めば問題なし。
登場人物もそれなりに「キャラ立ち」しています。

最近、少年漫画等で作りだされる女性キャラの魅力の乏しさに、
「女性読者(というかJack)にとって魅力的な女性キャラをかける男性作家っていないのでは?」
とあきらめムードだったJackでしたが、
この小説に登場する女性キャラは、みんなソコソコでした。

男性キャラもいいですよ!
特に松浦静山が良いと思います。
鳥居耀蔵がマヌケで、かなり美味しいです。

と、ストーリーではなく、キャラに目が向いてしまったのは、
幕府と藩の緊迫した関係が前面にでていないからでしょうか?
解決を試みる事件が、他愛もないものが多いからでしょうか?

キャラに飽きる前に、
あと2巻くらいで完結してくれると、ありがたいと思います。